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証券取引所に上場されているか,店頭登録されている株券または新株予約権付社債券(転換社債券)などの発行者である会社が発行する株券または新株予約権付社債券(転換社債券)などの保有割合が5%を超える者(大量保有者)が開示義務を負う(証取27条の23第1項,証取令14条の4以下)。保有割合は,保有者が有する株券の総数を,発行済株式総数で割って算出する(保有者が有する株券の総数/発行済株式総数。証取27条の23第4項)。 保有者が有する株券の総数(分子)からは,議決権のない株式は除外されるが(証取令14条の5の2第1号),発行済株式総数(分母)から,議決権のない株式を除外する規定はないようである。
これに対して,公開買付規制での株券等所有割合(証取27条の2第8項)や,短期売買差益規制での主要株主の要件(証取163条1項)では,分母は「総株主の議決権」とされている。 保有者が新株予約権付社債券(転換社債券)など,現在は株式ではないが,将来株式になりうる証券(議決権のない株式が対象の証券は除外される,証取令14条の5の2第2号〜4号)を有する場合は,株式になった場合の株券数を,先ほどの分子と分母の両方に加えて算出する(証取27条の23第4項,大量保有府令5条)。
分子と分母の両方に同じ数を加えるのは,その者以外の者は新株予約権(転換権)などを行使して株券を取得することはないとの前提で計算するためである。 つまり,保有割合とは,現在の保有割合ではなく,将来起こりうる新株予約権(転換権)の行使などによる株券の取得(この取得については外部から阻止することはできない)を折り込んで算定した阻止不可能で,かつ,将来起こりうる最大限の保有割合である。
カバードワラントなどのように発行会社自身が発行する証券でなくとも,証券保有者の意思で発行会社の株券などに変えることのできる証券も算定対象となる(証取27条の23第1項,証取令14条の4の2)。 5%超を保有しているかどうかについては,5%超の支配権を実質的に有することになるかどうかが基準となる。

したがって自己名義で保有する場合だけでなく,他人名義や仮設人名義で保有する場合も含まれる。 また,株券を保有していなくても,金銭の信託契約などの契約や法律の規定に基づき,株主としての議決権の行使ができる権限または議決権の行使について指図を行うことができる権限を有するとともに,当該会社の事業活動を支配する目的を有する者,あるいは投資一任契約などの契約や法律の規定に基づき,株券等に投資をするのに必要な権限を有する者も含まれる(証取27条の23第3項)。
さらに,他人と共同して,議決権について5%超の支配権を実質的に有することになる場合(共同保有)も含まれる。 共同保有とは,株券等を共同して取得または譲渡することを合意している場合や,議決権などの株主としての権利の行使を合意している場合をいう(証取27条の23第5項)。
夫婦関係や50%超の出資関係(議決権があるものに限られている)がある場合は共同保有者と見なされる(証取27条の23第6項,証取令14条の7)。 共同保有者は,各自それぞれが開示義務を負う。
証券取引所に上場されている株券等の発行者が内国会社か外国会社か,その発行者の株券等の保有者が国内に在住しているか外国に在住しているか,にかかわらず,次の大量保有報告書などによる開示義務が発生するが,外国に在住している者に対しては,報告書の提出を強制するのは難しいといわれている。 日本の上場会社が,外国の証券取引所に上場した場合に,日本の大量保有者が外国で大量保有についての開示義務を負うかどうかは,外国での法律による。
なお,欧米先進国のほとんどはなんらかの形の株式大量保有報告制度を備えている。 外国の証券取引所への上場という発行会社の一方的行為により,外国での大量保有報告義務という大きな負担が株主に発生することは問題であるとされ,規制当局が,本国で提出された報告書を外国でも利用できるようにするシステムを設けるか,それができないのであれば,外国の証券取引所への上場により各種のメリットを受ける発行会社が,本国で提出された報告書を外国でも利用できるようにするべきであるとの見解もある。
(a)大量保有報告書大量保有者は,内閣府令で定めるところにより,大量保有報告書を,大量保有者となった日から5日以内(休日は算入しない)に,内閣総理大臣に提出し,その後遅滞なくその写しを,株券等の発行者と,株券等の発行者が上場会社の場合は証券取引所,店頭登録会社の場合は証券業協会に,送付しなければならない(証取27条の23第1項・27条の27)。 発行会社に対しても写しを送付させるのは,発行会社に臨時報告書などによる大量保有についての情報開示の機会を与えるためである。
機関投資家で保有の目的が発行会社の事業活動を支配することではなく,株券等保有割合が10%を超えない場合や,国・地方公共団体などについては,提出期限の特例が認められている(証取27条の26第1項・3項,大量開示府令11条〜15条)。 なお,大量保有報告書の受理の権限と公衆縦覧に供する権限は,内閣総理大臣から金融庁長官に委任され,大量保有報告書の受理の権限は,さらに財務局長などに委任されている(証取194条の6第1項,証取令41条1項)。

提出された大量保有報告書は,関東財務局,発行者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する財務局,大量保有報告書の提出者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する財務局において,送付された写しは,株券等の発行者が上場会社の場合は証券取引所,店頭登録会社の場合は証券業協会において,5年間公衆縦覧に供せられる(証取27条の28,大量開示府令20条)。 大量保有報告書には,保有者と共同保有者の氏名などのほか,保有目的,保有株券等の内訳,最近60日間の取得または処分の状況,当該株券等に関する担保契約等重要な契約,保有株券等の取得資金の内訳や借入先の名称などが記載される(証取27条の23第1項,大量開示府令2条,第1号様式)。
保有目的については,純投資,政策投資,経営参加,支配権の取得など具体的に記載することとされている。 取得資金の内訳や借入先の名称などの記載が要求されているのは,保有者の資金の状況や資金の出所を明らかにすることによって,保有者が長期間の保有が可能であるのかどうかの判断ができるようにするためである。
(b)変更報告書大量保有報告書を提出すべき者は,大量保有者となった日の後に,株券等の保有割合が,1%以上増加し,または減少した場合,あるいは大量保有報告書に記載すべき重要な事項の変更があった場合には,その日から5日以内に,それらの変更事項を記載した報告書(変更報告書)を内閣総理大臣に提出しなければならない(証取27条の25第1項)。 機関投資家などについては,提出期限の特例が認められている(証取27条の26第2項・3項)。
写しの送付や公衆縦覧,権限の委任については,大量保有報告書と同様である。 短期間に大量の株券等を譲渡した場合は,譲渡の相手方や対価に関する事項についても変更報告書に記載しなければならない(証取27条の25第2項)。


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